羽後朝日岳 紀行文No5

花畑にきて寝転んでいる 遠い世界に遊んでいるようだ 太陽の輝きを浴びて お互いに見つめ逢い

ひしめきあい 言葉は話さない この世界に言葉は要らない 己を誇示するすべてを 宇宙の物性から学び

生き抜いている 様々な衣も 姿も 飾りも 遠い 遠い 宇宙からもらっている この世界には言葉は要らない

いつの日から此処にいたのだろう 知る由もない あまりにも広すぎる あまりにも遠すぎる      <タムラソウ ・アザミの仲間たち>

朝日岳の裏庭にしばし寝転んでいる。夏のやわらかい風がイワイチョウの少し堅い丸みを帯びたイチョウの葉によく似た葉をカサカサと揺らす。誰と話すわけでもない。しばらく生保内川の花畑に見惚れている。草花をかき分けて行くと、沢筋の岩場をよく好んで咲くイワゼキショウの花の先端部が紫色に見える。その辺の草をむしりチシマゼキショウの写真を撮る。大の字によく似るベニバナダイモンジソウ 「パチパチ花」とでも呼ぼうか、妙に味わい深く品のある花だ。フキユキノシタ、丸みを帯びた葉、花の咲き方が良く類似している。だがその植物の呼び方は全く違うものである。又、咲く環境も違う。植物の名前の由来については成程とうなづける植物もあるが、とてもおかしな名前もたくさんある。例えば「ヘクソカズラ」だれがどのような理由で付けたのか、とても臭い名前である。深く濃い緑に包まれた草原の裏庭。その草原の縁を覗き込むようにじっと眺めていると様々な花々が咲いている。今までは目の高さで、赤、ピンク、紫、イエロー、ホワイト、いろんな色彩を見ながら植物を探していた。こうして地表面に這いつくばって観察すると結構いろんな植物に出会える。又、じっくり眺めることで今まで気が付かなかった植物の複雑な構造まで観察できる。湿地帯に普通に生えるナガバノモウセンゴケ、、ここでは雪崩斜面に咲く。ピンク色の花が、スーット伸びた細い茎の先端に目立たないように咲いている。頂上の裏庭に咲くイワイチョウ、ダイモンジソウ、キンコウカ、湿地帯に多く咲く花々が頂上付近に咲いている。これらの花々が終わると、キク科のタムラソウ、オクキタアザミ、トウヒレンの仲間たちが咲きだす。もう何十種類もの植物達が次々と咲き乱れる。遠く荒沢岳、生保内川源流部に流れる花の斜面は圧巻である。ここはおいらの「秘密の花園だ」。

季節を変え、咲く花々を次から次えと変えていく。春から晩秋まで咲き続けるハクサンイチゲ。、この山の主はハクサンイチゲの白い花だろう。暫く花の藪を遊山する。<イワイチョウ>

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