ここで地下足袋から長靴に履き替え残雪深い行太尾根を歩く。夏瀬温泉東側の小玉沢下部から延々とブナ林が続く尾根である。ブナノ根開、派生する尾根筋、谷筋から春の勢いが樹々の根元から聞こえてくる。そんな快晴のとても美しい尾根を歩ける。急斜面の一番の見晴らし台にステップを刻みテーブルをこしらえ贅沢な?ミルクティーを飲みながら和賀山塊の山並みを眺める。しばらく遠くの山々を見つめ山行の瞑想に更ける。白岩岳には何回登ったろう。行太沢の詰上げで残雪で遊んでいるとき滑落し、左肩を脱臼した苦い経験がある。その時助けてくれたのは一本の木でした。あれから三十年近くもなる。山の頂上は変わらない。しかし、抱返り、入角沢、シシ小屋周辺は随分変わってしまった。人の心も変わってしまったんだろう。白岩薬師へ寄ってみた。いつしか南の股沢からやはり今頃山菜を採りながら小滝山を詰めヒメイチゲの咲く頂上で昼寝をして帰ったことを思いヒメイチゲに会いに行く。
ふらり山旅 続編NO3 白岩岳へ
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